令和6年度施政方針

更新日:2024年02月16日

令和6年2月16日(金曜日)

第1 はじめに

まずは、本年1月1日に発生した能登半島地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました全ての皆様に心よりお見舞を申し上げます。そして、被災地の一日も早い復旧・復興と被災者の方々の一日も早い生活再建をお祈り申し上げます。

それでは、令和6年度の市政の基本方針などを申し述べます。

 

第2 令和6年度の施政方針

1 本市を取り巻く状況

初めに、本市を取り巻く状況について申し上げます。

令和5年度は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同様の5類感染症に移行されたことに伴い、様々なイベントや活動が復活するなど、活気が戻ってまいりました。

一方で、国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計人口によれば、今後、人口減少と少子高齢化が更に進むことが見込まれており、経済社会の担い手の減少や社会保障制度の維持などの問題は、避けて通れない大きな課題となっております。

また、燃料や食料などの物価高は今もなお続いており、私たちの生活や経済社会に影響を及ぼしています。

こうした状況の中で、国においては、令和5年11月29日に「物価高から国民生活を守る」などを柱とした13兆1,992億円の令和5年度補正予算第1号を成立させました。現在は、「変化の流れをつかみ取るための予算」として、令和6年度予算を審議しており、その規模は112兆5,717億円となり、過去最大であった令和5年度予算を下回るものの、6年連続で100兆円を超え、過去2番目の規模となる見込みです。

 

2 市政運営の基本的な考え方

続きまして、私の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。

世の中には、変わっていくものと変わらないもの。変わるべきものと変えてはいけないものがあります。

本市が、今日このように発展を遂げてまいりましたのは、多くの先達、議員各位、市民や事業者の皆様が、ともに汗をかき、力を尽くされてきたことの賜物にほかなりません。これまでの経緯を踏まえ、本市ならではの魅力や強みなどを「継承」していくことは、大変重要であると考えています。

一方で、本市を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。変化の中で生まれる新たな課題やニーズに的確に対応していくためには、これまでの慣例や前例に囚われない「革新」も必要です。

こうしたことから、私の市政運営の基本は、「継承」と「革新」であり、これは市長就任時から変わりません。

また、私の目指すまちづくりのキーワード「安全」「安心」「未来」、これも変わりません。

 

3 令和6年度の市政の基本方針

続きまして、令和6年度の市政の基本方針について申し上げます。

まちづくりの3つのキーワードには、優劣はありませんが、市民の皆様の「安全」を守り、「安心」を支え、希望の「未来」へとつなぐという大きな流れがあります。

私は市長就任以来これまで、「安全」に注力してまいりました。

例えば、利根川・渡良瀬川の堤防強化は概ね完成しました。また、地域防災計画やハザードマップの見直し、総合水害広域避難訓練や防災士養成講座の実施など様々な対策を講じるとともに、水路・通学路の緊急安全対策、突風被害を踏まえた道路や公園の危険樹木の緊急伐採、全ての公共施設の緊急安全対策などにもスピード感を持って取り組んでまいりました。

それでは、令和6年度は、何に重点を置いて取り組むのかといいますと「安心」です。そのうち、特に「健康」に注力してまいります。

年齢とともに介護サービスを必要とする方の割合は高くなり、85歳以上では50%を超える方が介護サービスを必要としています。現在、85歳の人口は約700人ですが、年齢別人口が最も多いのは74歳であり、その人口は約2,000人です。このままいくと、11年後には85歳の人口は約3倍になり、医療や介護のサービスが十分に提供できなくなるかもしれません。それでは、どうしたらいいかというと、高齢者の皆さんに何歳になっても元気でいていただく、つまり、「元気で長生き!」これがとても大切なこととなります。そのための一つとして、健康づくりとスポーツを所管する組織を統合し、一体的な事業展開を行うなど、関連した取組を全庁的に推進することにより相乗効果を生み出してまいります。

 

また、合併により誕生した本市においては、300を超える多くの公共施設に年間30億円を超える維持費が掛かっており、令和37年までの間に個別施設計画に基づき実施する大規模改修や建替えなどの更新に要する費用は約3,000億円となる見込みです。人口減少が進む中で、こうした施設の維持や更新を続けていくことは非常に困難であり、現存施設の更なる統廃合や機能転換などの再整備は喫緊の課題となっています。

そこで、公共施設の再整備につきましては、現在も鋭意検討中ですが、令和6年度はさらにもう一歩進めてまいります。

 

さらに、市政の果たすべき役割は多様化しており、シニアも若者も、子育て世代も、障がいのある方もない方も、およそ赤ちゃんからお年寄りまで、全ての市民の皆様の暮らしを守り、支えていくためには、あらゆる課題に向き合う全方位戦略も必要です。

そこで、第2次加須市総合振興計画に位置付けられた5つの基本目標と44の施策を着実に推進する「継承」に、時代の変化に対応した「革新」を加え、748本ある全ての事業に全力で取り組んでまいります。

 

4 令和6年度予算案の概要

このような考え方の下で編成した令和6年度予算は、「“安心のまちづくり”を推進していく予算」です。

予算の編成に当たりましては、実質収支額の抑制を図るため、より正確な予算査定や財政調整基金を活用した歳入確保などに留意し、財源を有効活用する積極的な予算となるよう努めました。その結果、一般会計は前年度比8.0パーセント増の427億1,700万円、特別会計は前年度比0.6パーセント減の249億4,569万円、企業会計は前年度比18.2パーセント増の86億3,427万7千円となり、これらを合わせた全会計は、前年度比6.0パーセント増の762億9,696万7千円となった次第です。

なお、予算の内容につきましては、この場で全てを御説明することはできませんので、主要施策の一部について、「安全」「安心」「未来」のキーワード別に新たな取組や拡充した取組を中心に御説明申し上げます。

 

5 令和6年度の主要施策

(1)「安全」

キーワードの1つ目、「安全」には、災害対策や防犯、交通安全、そして、道路・水道といったインフラ整備などに関する施策があります。

 

そのうちの「災害対策」に関する取組について申し上げます。

利根川と渡良瀬川の2つの大河を抱え、幾筋もの河川や水路がある本市にとって、治水対策は大きな課題です。河川や水路の整備等につきましては、引き続き、国、県、土地改良区、関係市等と連携して進めてまいります。

また、地域防災力の強化・充実を図るため、引き続き総合水害広域避難訓練や防災士養成講座などを実施するとともに、新たに防災士と自主防災組織が相互に連携する「防災士連絡会」を設置します。

また、常備消防とともに地域の防災の要である消防団につきましては、団員の処遇改善を図るため、新たに活動の実態に応じた出動報酬を設けます。

さらに、危機管理体制のより一層の強化を図るため、環境安全部に、新たに危機管理監を設置します。

 

地震や台風、大雨といった自然災害は、必ず起こります。避けることはできませんが、備えをすることによって被害を小さくすることはできます。その「備え」として今後も様々な対策に取り組んでまいります。

 

(2)「安心」

キーワードの2つ目、「安心」には、健康、福祉、子育て、教育・保育、環境、文化・スポーツなどに関する多くの施策があります。

そのうちのいくつかの取組について申し上げます。

 

まず、「健康」と「スポ―ツ」に関する取組です。

日本人の2人に1人がかかるといわれる「がん」の早期発見、早期治療につなげるため、乳がん検診は無料化、胃がん検診の内視鏡検査と前立腺がん検診は自己負担額の減額、胃がんリスク検診であるピロリ菌検査等は対象年齢の拡充を図ります。これにより、本市のがん検診の助成は、県内トップクラスとなります。

また、新たに定期接種化された高齢者等の新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、自己負担額1,000円となるよう接種費用の一部を助成、子どものインフルエンザ予防接種につきましては、接種費用の助成対象を現行の中学3年生のみから、生後6か月以上中学3年生以下へと大幅に拡大するとともに、高齢者肺炎球菌ワクチン接種につきましては、政令の経過措置終了に伴い定期接種の対象は65歳のみとなりますが、現行の66歳以上を対象とした接種費用の助成を継続します。

さらに、高齢者が要介護状態になることを予防するため、新たに、要介護等認定に該当しない高齢者の住宅のバリアフリー改修費用を助成します。

また、誰もがスポーツに親しめる生涯スポーツ社会の実現に向け、地域スポーツの担い手として期待される総合型地域スポーツクラブの設立を支援します。

このように、それぞれの取組を深化させるほか、健康とスポーツの連携、融合等による取組を進め、市民を挙げての健康づくりタウンを目指してまいります。

 

次に、「子育て支援」に関する取組です。

多胎妊産婦の経済的負担及び精神的負担の軽減を図るため、妊婦健康診査費用の助成と産後支援の拡充をします。

また、子育て世帯を経済的に支援するため、国の制度改正に対応し、児童手当及び児童扶養手当を拡充します。

また、社会問題化しているヤングケアラーへの理解を深め、支援体制を構築するため、職員及び関係機関等への研修を充実するとともに、児童虐待防止に向けた啓発活動を強化します。

さらに、乳幼児期から本に親しんでいただくため、9~10か月児健診の際にプレゼントしている絵本を、お子様が絵本の主人公となり、名前や性別等に合わせて内容がカスタマイズされる世界に一つだけの絵本(パーソナル知育絵本)にします。

このように、本市の特徴でもある妊娠から出産、子育てへと続く切れ目のない子育て支援につきましては、より一層の磨きをかけてまいります。

 

次に、「教育環境の充実」に関する取組です。

公立幼稚園においては、保育の充実を図るため、3歳児の保育時間の延長や4歳児・5歳児の預かり保育の全園実施、学級編成基準の段階的な見直しを行います。

また、小学校においては、児童の水慣れや泳ぐ力の向上、学校の施設維持に係る負担軽減のため、新たに4校で水泳指導を民間委託します。

さらに、誰一人として取り残さない教育を推進するため、スクールカウンセラーの勤務日数の拡充や不登校児童等の保護者を対象としたセミナーの開催、最新版の知能検査の導入、日本語指導助手の勤務時間の拡充などに取り組みます。

子どもの学びを支える教育環境の充実につきましては、「学校は誰のためにあるのか」、「こどもど真ん中」ということを基本として取り組んでまいります。

 

次に、「地球温暖化対策」に関する取組です。

市民、事業者及び市が連携・協力して総合的かつ計画的に二酸化炭素排出量削減等の取組を推進するゼロカーボンシティ推進協議会を設置します。

また、再生可能エネルギーの活用促進を図るため、住宅用の太陽光発電システムと蓄電池の設置補助制度を創設します。

さらに、公用車として電気自動車及びハイブリッド車を導入するとともに市役所本庁舎の照明のLED化に向けた設計に着手します。

このように、地球温暖化対策につきましては、令和5年3月に宣言したゼロカーボンシティの実現に向けて、実効性のある対策を講じてまいります。

 

最後に、その他の取組としていくつか申し上げます。

今なお続く物価高騰の影響を受ける子育て世帯の生活を支援するため、令和5年度と同様に、市立の小・中学校に通う児童・生徒の学校給食費5箇月分を一時免除するとともに、未就学児及び加須市立学校給食センターから給食の提供を受けない小・中学生については絆サポート券を配布します。

また、騎西郷土資料館(騎西城)に空調設備や階段手すりを設置するとともに開館日を拡充し、市指定有形文化財である十六間筋兜を含む出土品を展示します。

さらに、スプレー缶などを危険ごみとして排出する際の穴あけ作業による爆発事故から市民を守るため、穴をあけずに排出する方法に変更します。

 

(3)「未来」

キーワードの3つ目、「未来」には、かぞ版スーパーシティ、産業や観光の振興、公共交通、人権・男女共同参画、DXの推進など幅広い分野の施策があります。

そのうちのいくつかの取組について申し上げます。

 

まず、「かぞ版スーパーシティ」の取組です。

昨年策定した構想及びそれに基づく優先的まちづくりゾーン基本計画に基づき、民間活力の活用を基本として、過大な公共投資に依存しない実効性のあるまちづくり向けて、課題等を整理し幅広い視点で取り組んでまいります。

 

次に、「農業の振興」に関する取組です。

農地の効率的かつ総合的な利用を図るため、目標地図の作成や協議の場の設置などを行い、地域の目指すべき将来の農地利用の姿を明確化する地域計画を策定します。

また、農産物に付加価値を持たせ販路拡大等につなげるため、化学肥料・化学合成農薬の使用低減や有機農業に取り組む農業者への支援を実施します。

さらに、地域農業のセーフティネットとして重要な役割を果たす農業公社の経営の安定と作業の効率化を図るため、老朽化した農業用機械を更新します。

本市の市域の約半分は農地であり、本市の基幹産業は農業です。この農業を未来につなげていくため、更なる農業の振興に取り組んでまいります。

 

次に、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」に関する取組です。

市民等の利便性の向上を図るため、市のホームページやLINEからの問合せ対応にAIチャットボットを導入します。

また、公立保育所における欠席や遅刻の際の電話連絡など、保護者や保育士の負担となっている様々な課題を解決し、保育士が子ども達と向き合う時間を増やすため、保育業務支援システムを導入します。

また、世代間のデジタル格差を是正するため、シニア世代を対象としたスマホ教室を開催します。

さらに、市役所業務の効率化を図るため、生成AIの活用や自治体情報システムの標準化への対応、職員庶務事務システムの導入などを行います。

「デジタルで喜びや笑顔あふれるスマートなまちづくり」の実現を目指して、あらゆる分野においてDXの取組を進めます。

 

次に、「公共施設の再整備」に関する取組です。

給水人口の減少に対応した適切な規模の水道施設となるよう、浄水場の統廃合や施設更新等を実施するための計画を策定します。

また、公立保育所の施設の老朽化等を踏まえ、今後の安全安心な保育環境の確保と依然として高い保育ニーズに対応するため、加須市立保育所再整備計画を策定します。

また、教育環境の改善や児童の安全確保のため、礼羽小学校校舎の長寿命化改良工事の設計及び高柳小学校校舎の構造躯体劣化状況等調査を実施します。

また、将来のスポーツ施設の在り方を検討するため、スポーツ施設整備基本構想の策定に着手します。

さらに、加須クリーンセンターごみ焼却施設の基幹改良工事に向けて、廃棄物処理施設長寿命化総合計画を策定します。

喫緊の課題である公共施設の再整備につきましては、市全体として検討を継続するとともに、施設の分野ごとに再編計画の策定を順次進めてまいります。

 

最後に、その他の取組としていくつか申し上げます。

観光を取り巻く社会情勢や旅行に対する意識変化に対応し、観光事業の更なる充実を図るため、加須市物産観光協会の事務局長の公募や市から独立した法人への移行について、同協会との合意形成を図りながら進めます。

また、社会情勢の変化に対応し、将来を見据えたまちづくりを計画的に進めるため、都市の将来像を示し、都市計画に関する基本的な方針を定める都市計画マスタープランの策定に着手します。

さらに、平成22年3月23日の新市誕生から15年目となる節目を記念して、合併15周年記念式典を開催するとともに、15とイチゴを掛けまして加須市産のいちごを使用したスイーツメニューの開発支援をはじめ様々な記念事業を展開します。

 

以上、令和6年度の主要施策について申し上げました。これらの取組を中心として、繰り返しになりますが748本の全ての事業に全力で取り組んでまいります。

 

第3 結び

結びになりますが、埼玉県の大野知事は、昨年の漢字として「愛」を掲げ、最近は「埼玉愛」という言葉をよく使われているように思いますが、私のモットーは市長就任前から「かぞ愛」です。この「かぞ愛」は、人も物も地域も加須の全てを愛するという意味です。本年も議員各位や市民の皆様のお力添えをいただきながら、「かぞ愛」を持って全力疾走してまいります。

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