令和5年度施政方針

更新日:2024年02月16日

令和5年2月13日(月曜日)

本日、ここに令和5年第1回加須市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、極めて御健勝にて御参会を賜りまして、心からお喜びを申し上げます。

また、御提案を申し上げました令和5年度の予算案をはじめとする各議案の御審議に加え、市政の各般にわたりまして御審議、御指導をいただきますことは、市民福祉の向上、郷土発展のため、誠に喜ばしく、深く感謝を申し上げる次第でございます。

それでは、御審議いただきます諸議案の説明に先立ちまして、令和5年度の市政に対する基本的な考え方を申し述べ、併せて予算案などについて御説明申し上げます。

 

1 我が国内外の社会経済情勢

初めに、我が国内外の主な社会経済情勢について申し上げます。

まず、直面しているのは、止まらないエネルギー・食料の価格高騰です。電気料をはじめ、食料品や日用品などの生活必需品に至るまで値上がりを続けており、私たち一人一人の生活及び社会経済活動に深刻な影響を及ぼしています。

また、国内での初確認から3年が経過した新型コロナウイルス感染症でありますが、令和5年5月の大型連休明けから、感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げるなど、コロナ禍からの社会正常化に向けて、大きくかじを切るものであります。

さらに、脱炭素や気候変動、SDGs、そして、世界情勢などへの対応に、全ての国が力を合わせ、取り組んでいかなければならない状況下にありながら、協調と対立が複雑に絡み合うグローバル化が進むなど、いずれも前例のない厳しい状況にあります。

また、我が国の人口動態では、令和4年の年間出生数が80万人を割り込む見込みで、令和元年に90万人割れとなってからわずか3年と、想定をはるかに超えるスピードで少子化が進行しています。

一方で、65歳以上の高齢者は、過去最多を更新し続けており、少子化の進行とそれに伴う人口減少、そして、高齢化の進展が、これまで以上に進む見込みであります。

これらを背景に、お年寄り、子どもたち、子育て世帯、そして、現役世代まで、広く安心を支えていく全世代型社会保障を構築する正念場のときを迎えています。

 

こうした状況を踏まえ、国においては、令和4年度第2次補正予算28兆9,222億円を令和4年12月2日に成立させるとともに、現在、令和5年度当初予算を審議しており、規模としては過去最大の114兆円となる見込みでございます。

一方、地方財政対策の規模は、前年度比1.6パーセント増の92兆400億円であり、主要な歳入である地方交付税については、前年度比1.7パーセント増の18兆3,611億円とされております。

 

2 市政に対する基本的な考え方

このような中、令和5年度の市政に対する基本的な考え方について申し上げます。

私の市政運営の基本は、「継承」と「革新」です。

本市を取り巻く環境が日々変化する中で、第2次加須市総合振興計画を着実に推進する「継承」の中で、時代の変化に対応した「革新」を加え、本市の課題解決に取り組んでまいります。

新たな局面においても、私の目指すまちづくりのキーワード「安全」「安心」「未来」の3つ、市民の皆様の安全を守り、安心を支え、希望の未来へとつなぐためのまちづくりを加速させてまいります。

 

3 予算編成の考え方

このような考え方のもと編成した令和5年度予算は、シニアも、若者も、子育て世代も、障がいのある方もない方も、およそ赤ちゃんからお年寄りまで、全ての市民の皆様の暮らしを守り、そして、支えていくための「変化に対応し希望の未来へつなぐ予算」でございます。

 

本市が乗り越えなければならない課題は山積しております。

災害対策をはじめ、子育て支援や子どもの学び、地域医療の充実や地域産業の振興、かぞ版スーパーシティ構想の実現などに重点を置いて、全ての課題に取り組み、希望の未来へとつないでまいります。

 

加須市総合振興計画に位置付けられた5つのまちづくりの基本目標

(1)安心安全でいきいきと暮らせるまちづくり

(2)未来へつなぐ人を育むまちづくり

(3)魅力と活力を生む産業のまちづくり

(4)豊かな自然と快適な環境のまちづくり

(5)協働による持続可能なまちづくり

それぞれの目標の達成に向け、「安全」「安心」「未来」の分野、44の施策、762の事業を実施する予算としたところでございます。

また、財政運営につきましては、本市の財政状況や今後の財政需要を考慮し、中長期的な視点も持ちながら、安定した持続可能な財政運営を行ってまいります。

 

4 令和5年度歳入歳出予算の概要

それでは、令和5年度歳入歳出予算の概要につきまして、御説明申し上げます。

初めに、予算規模としましては、一般会計で、前年度比4.3パーセント増の395億5,800万円、特別会計で、前年度比0.8パーセント増の250億8,384万1千円、企業会計で、前年度比3.2パーセント増の73億343万9千円となり、これらを合計しました全会計では、前年度比3.0パーセント増の719億4,528万円でございます。

 

続きまして、歳出予算における主要施策について、新規や拡充する主な取組を中心に、3つのまちづくりのキーワード「安全」「安心」「未来」の分野ごとに、順次御説明を申し上げます。

 

○「安全」

初めに、「安全」について申し上げます。

まず、地域防災力を強化する取組です。

災害に強い安全なまちづくりは、行政の力、いわゆる公助に加え、市民や地域の皆様の力、いわゆる自助・共助が発揮されて成し得るものであります。

特に、自助と共助の力、これを高める地域の人材育成として、一定の知識や技能を習得した「防災士」を養成するため、資格の取得がしやすくなるように、市内で防災士養成講座を開催するとともに、受講に必要なテキストや受験料などを支援してまいります。

 

次に、いざという時に備える取組です。

災害は、避けることができません。必ず起こります。しかし、避けることはできませんが、「備え」をすることによって被害を小さくすることはできます。

その「備え」として、地震から自分を、家族を、地域を守るために、最新の情報に更新した地震ハザードマップを作成し、全ての御家庭に配布してまいります。

また、救命が必要な不測の事態もいつ起こるかわかりません。

突然の心停止から命を救うため、新たに、公共施設14箇所にAEDを設置します。これにより、AEDの設置を計画していた公共施設の全てに整備されるものでございます。

さらに、大雨などによる農地の湛水(たんすい)被害の解消と排水改良による農業収益の向上のため、河川と農業排水路の一体的な整備を行う中川上流地区国営かんがい排水事業でありますが、事業計画や事業費負担などについて、国、県、土地改良区、関係市等と協議を重ねており、着実な実施に向け、関係機関と協調しながら、事業を推進してまいります。

 

次に、インフラ系施設を充実する取組です。

市民生活や社会経済活動を支え、便利で暮らしやすいまちづくりには、誰もが利用しやすい道路、水害を抑制する排水路、安定して給水できる水道、適正に排水処理できる下水道などが必要不可欠です。自治会要望等に基づき、優先度を評価した上で、関係機関の協力を得ながら整備を進めてまいります。

また、市民の皆様に、下水道事業への更なる理解や関心を深めていただくために、加須らしい「デザインマンホール」を作製してまいります。

 

○「安心」

続きまして、「安心」について申し上げます。

まず、子育て世代を応援する取組です。

子育て支援策として、また、子どもの健康づくりとして、これまでの施策に、より一層の磨きをかけてまいります。

その中心の一つが、子育て支援医療費支給制度における支給対象の拡大であり、子育て世代の負担軽減を更に図るために、令和5年7月診療分から、支給対象者の年齢をこれまでの15歳(中学校3年生)までから18歳(高校3年生)までに引き上げます。

また、食材価格の高騰が続く中で、県内市で最も低い給食費を維持しておりますが、これからも保護者負担を増やすことなく、安全で安心な給食を提供するために、そして、より多くの地場産野菜の消費拡大のために、必要な賄材料費を措置するものでございます。

さらに、支援の輪が広がってきている子ども食堂やフードパントリーが、これまで以上に連携して、そして、安定して活動ができますように、水と緑と文化のまちづくり基金を活用し、それぞれの活動団体をつなぐネットワーク組織「加須市子育て応援団体連絡会」を設立し、運営する経費の一部を支援してまいります。

 

次に、子どもの学びの環境を整備する取組です。

子どもたちの学びを伸ばすためには、質の高い教育とともに、安全で安心な教育環境であることも重要でありますので、計画的に整備を進めてまいります。

礼羽小学校校舎は、広範囲に劣化が進んでおり、今後、大規模な改修等が必要ですが、どのような改修が適切であるのか、これを検討するため、校舎の構造躯体劣化状況等調査を実施してまいります。

また、元和小学校は、今後の転入者を考慮した児童数が増加していく見込みでありますことから、校舎の増築による普通教室の整備と併せて、学童保育室を整備してまいります。

 

次に、お年寄りも障がいのある方も、いきいきと暮らせる取組です。

高齢化が進展する中で、各施策を充実させていくとともに、それを実現する財源の確保も求められてまいります。併せて、一人一人が住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けられる、ともに生き、ともに支え合う仕組みづくりが大切です。

具体的には、敬老の意を表するとともに、長寿を祝福する敬老祝金について、贈呈の方法や額を見直します。

現在、満77歳から満100歳までの4つの年齢区分において、それぞれ2万円から5万円までの額を現金で贈呈しておりますが、これを全て、本市独自の地域通貨「絆サポート券」で贈呈し、市内の小規模店で利用していただくことによって経済の活性化を図る、一石二鳥の取組としてまいります。併せて、今後の高齢化の進展による対応を見据え、満77歳の方への贈呈の額について見直しを図り、2万円から1万円に変更いたします。

市民の皆様への記念品の贈呈や給付などには、積極的に「絆サポート券」を活用してまいります。

また、障がいのある方とその家族の相談体制を強化するために、加須市、行田市及び羽生市の3市共同で「基幹相談支援センター」を設置し、総合的かつ専門的な体制を構築してまいります。

 

次に、市民を挙げての健康づくりを目指す取組です。

令和4年6月に埼玉県済生会加須病院が開院し、地域医療のレベルアップが図られました。これをもう一段階、地域完結型医療を目指し、更なるレベルアップを図ります。そして、市民の皆様と、地域医療や健康づくりの大切さについて、ともに考え、ともに取り組んでまいります。

具体的には、加須医師会の御協力をいただきながら、市内医療機関の代表者で組織する「医療連携推進会議」を設置し、医療提供体制の強化や新たな医療サービスなどの検討を進めてまいります。

また、埼玉県済生会加須病院での個別の乳がん検診、更には乳がん検診と子宮頸がん検診が同時に検査できる体制を維持してまいります。

また、乳がんの正しい知識を広め、検診の早期受診などを推進するピンクリボン運動への取り組みとして、10月のピンクリボン月間に、公共施設等をピンク色にライトアップしてまいります。

また、近年、注目を集めている「eスポーツ」でありますが、これを新たな健康増進策として取り入れ、40歳以上の市民の方を対象に、eスポーツ教室を開催してまいります。

 

次に、女子野球の聖地化に向けた取組です。

スポーツを核とした交流人口の拡大に取り組んでいるところでありますが、女子野球について、ソフトとハードの両面から、更なる振興を図ってまいります。

ソフト面では、全日本女子野球連盟や埼玉西武ライオンズ・レディースと連携しながら、エキシビジョンマッチの観戦イベントの開催など企画の充実を図るほか、ハード面では、先般策定の田ケ谷サン・スポーツランド野球場改修基本計画に基づき、女子野球の聖地に相応しい施設となるように、改修を進めてまいります。

 

次に、脱炭素社会への着実な推進に森林環境譲与税を活用した取組です。

まず、本市では、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、令和5年3月23日(加須市民の日)に、ゼロカーボンシティへの取組を宣言いたします。

また、脱炭素社会を目指す現代において、森林整備の促進は欠かすことのできない取組です。

木材利用の促進や普及などに活用する森林環境譲与税を財源に、加須地域のいちょう公園への木製遊具の設置や騎西地域のあじさいロードに設置している木製ロープ柵の修繕のほか、木材を使用した小中学校の児童生徒用の机・椅子の整備、樹木や屋敷林等の保全などに取り組んでまいります。

 

○「未来」

続きまして、「未来」について申し上げます。

まず、デジタル技術を活用した取組です。

先般、本市のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進に向けて、新たな羅針盤となる加須市DX推進計画を策定しました。

「デジタルで 喜びや笑顔あふれる スマートなまちづくり」を基本理念に、市民の皆様の利便性と行政サービスの向上や、効果的で効率的な行政運営などに取り組んでまいります。

具体的には、税・料金の納付において、既存のコンビニ収納の仕組みを活用し、現在、1種類のみのバーコード決済について、これを6種類増やし7種類に拡充し、また、証明手数料等の支払いにおいて、住民票をはじめとする各種証明の発行手数料等について、窓口での支払い及び電子申請サービスを利用したオンラインでの支払いに、キャッシュレス決済を導入してまいります。

さらに、世代を問わず、日常生活のコミュニケーションツールとなっているLINE(ライン)の活用と充実です。市公式LINEのフォロワー数は、5万人を超えています。より登録者のニーズに沿った情報が届くように、特定のグループごとにメッセージが配信できるようにするなど、機能を拡張し、情報発信してまいります。

また、国では、各自治体がシステムを個別に開発することによる人的・財政的な負担、いわば無駄を排除するために、住民記録や税・福祉など20の業務について、令和7年度までに標準化基準に適合したシステムにすることとしており、本市においても、この国の動きに対応したシステムの標準化の準備を進めてまいります。

 

次に、創業する方・経営改革にチャレンジする方を後押しする取組です。

魅力やにぎわいがある地域産業の創出には、新しい力、チャレンジする意欲が一つの契機となります。しかし、創業初期は、経営が不安定で基盤が弱く、資金繰りも安定しづらいという実態があるものとも存じております。

そこで、補助制度を新設し、意欲をもって計画的に経営を行おうとする、市内で創業する方又は創業後5年未満である創業者に対し、その創業に係る経費の一部を支援してまいります。

加えて、積極的に経営改革を行おうとする、5年以上事業を継続して営み、かつ、県の承認を得た経営革新計画を実行する市内の中小企業者及び個人事業者に対し、その経営に係る経費の一部を支援してまいります。

 

次に、埼玉県内一の米どころ加須を学び、PRする取組です。

市の面積の半分は農地であり、その農地の85パーセントは水田です。それが「埼玉県内一の米どころ」と言われる所以でもあります。

この特徴を活かし、市内企業や農家の皆さんなどと連携しながら、子どもから大人まで参加できる田んぼ運動会を開催してまいります。

この取組は、若手職員によるプロジェクトチームからの提言の一つでありまして、田んぼ運動会を通して、自然の大切さや農業に対する興味・関心をもってもらうきっかけに、そして、全国に米どころ加須をPRする絶好の機会としてまいります。

 

次に、かぞ版スーパーシティ構想の実現に向けた取組です。

加須駅の周辺に様々な都市機能を集積し、本市の「顔」となるような新しいまちづくりの実現に向け、更なる一歩を踏み出します。

具体的には、間もなく策定となる「病院を核とした加須駅周辺の新たなまちづくり構想」において、4つに区分されるゾーンのうち、「優先的まちづくりゾーン」、「一体的まちづくりゾーン」及び「まちなかにぎわい創出ゾーン」について、拠点施設の整備や新しい都市機能を具現化する計画を策定してまいります。

そうした計画に基づき、まちづくりを進める事業予定者の公募を実施し、優先交渉権者を選定して事業化を図ってまいります。

 

以上、令和5年度の主要施策における主な取組について御説明申し上げました。

 

5 結び

以上をもちまして、令和5年度の市政に対する基本的な考え方及び予算案などのうち、その主なものにつきまして概要を申し上げたところでありますが、改めまして、私は、シニアも若者も、子育て世代も、障がいのある方もない方も、およそ赤ちゃんからお年寄りまで、全ての市民の皆様の暮らしを守っていくために、議員各位や市民の皆様のお力添えをいただきながら、今後も全身全霊を傾け、全力疾走してまいります。

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