○加須市環境基本条例
平成22年3月23日
条例第159号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 基本的施策(第8条―第21条)
第3章 環境審議会(第22条)
第4章 補則(第23条)
附則
私たちのまち、加須市は、利根川と穀倉地帯に代表される豊かな自然と奥行きのある歴史と文化により育まれた豊かな心と地域特性を財産とし、水と緑と文化の調和した市として、今日まで発展してきた。
しかしながら、私たちが享受してきた物質的に豊かで便利な生活は、様々な資源やエネルギーの大量消費をもたらし、都市・生活型公害を発生させ、更にはすべての生物の存続基盤である地球の環境を脅かすまでに至っている。
もとより、私たちは、健康で文化的な生活を営む上で必要とされる良好な環境の恵沢を享受する権利を有するとともに、このかけがえのない地球を守り、健全で恵み豊かな環境を、市民の貴重な財産として次の世代に引き継ぐことは、現在に生きる私たちの願いであり、責務である。
今、私たちは、この環境の恵みを認識するとともに、身近な環境を大切にすることが、ひいては、地球環境を守ることになることを理解し、環境への負荷の少ない持続的に発展することができる循環型社会の構築を目指して、私たちの暮らしや事業活動の在り方を考え、行動に移さなければならない。
そのため、市民、事業者、市すべての者の参加と協働により、先人から受け継いだ水と緑に恵まれた環境を保全し、人と自然が共生できるまちづくりを推進することが私たち市民の使命である。
ここに、私たちの使命を深く自覚し、市民の総意として、環境の保全と創造を推し、「豊かな自然と快適な環境のまち」づくりを目指し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造に関し、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この条例において、「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
3 この条例において、「循環型社会」とは、自然の物質循環を損なうことなく持続的に発展することができる社会をいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に則り、推進されなければならない。
(1) 環境の保全及び創造は、現在及び将来の世代の市民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、人類の存続基盤である環境が将来の世代に継承することができるように適切に推進されなければならない。
(2) 環境の保全及び創造は、すべての者が環境への負荷を低減すること、その他の行動を公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行うことによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない循環型社会が構築されるよう推進されなければならない。
(3) 環境の保全及び創造は、地域の環境が地球全体の環境と深くかかわっていることにかんがみ、国際的な協力の下に推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、基本理念に則り、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念に則り、環境の保全及び創造に関し、積極的に関心を持ち必要な知識を得ることにより、環境の保全及び創造についての理解を深めるよう努めなければならない。
2 市民は、基本理念に則り、その日常生活において、環境への負荷の低減に自ら努めなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、市民は、基本理念に則り、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に則り、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念に則り、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる事項に努めなければならない。
(1) 事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、その適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずること。
(2) 事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資すること。
(3) 再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用すること。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念に則り、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他の環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(報告書の作成等)
第7条 市長は、毎年、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関して講じた施策に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。
第2章 基本的施策
(環境優先の理念)
第8条 市は、すべての施策の策定及び実施に当たっては、環境優先の理念の下に、環境への負荷の低減その他の環境の保全及び創造のために必要な配慮を図るよう努めるものとする。
(環境基本計画)
第9条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、加須市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標、基本方針、総合的な施策の大綱及び環境配慮の指針
(2) その他環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ市民の意見を聴いた上、加須市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境基本計画との整合)
第10条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図らなければならない。
(環境の保全及び創造に資する事業等の推進)
第11条 市は、次に掲げる環境の保全及び創造に資する事業等の推進を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(1) 下水道、廃棄物の処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する施設の整備
(2) 多様な野生生物の生息空間の確保、適正な水循環の形成その他の環境の保全及び創造に資する事業
(3) 公園、緑地等の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業
(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)
第12条 市は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務、エネルギー等の利用が促進されるように、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境教育及び環境学習の推進)
第13条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全及び創造に関する活動を自ら行う意欲が増進されるようにするため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進に努めるものとする。
(自発的な活動の促進)
第14条 市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な支援を行うものとする。
(市民の意見の反映)
第16条 市は、環境の保全及び創造に関する施策に、市民の意見を反映することができるように、必要な措置を講ずるものとする。
(調査の実施)
第17条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の適切な推進を図るため、環境の状況の把握その他の環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
2 市は、環境の状況の把握に必要な監視、測定等の体制づくりを図るものとする。
(総合調整のための体制の整備)
第18条 市は、環境の保全及び創造に関する施策について総合的に調整し、及び推進するために必要な体制を整備するものとする。
(地球環境の保全及び国際協力)
第19条 市は、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境の保全(以下「地球環境の保全」という。)について、県その他の団体と連携して、地球環境の保全に資する施策を推進するとともに、地球環境の保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
(県及び他の地方公共団体との協力)
第20条 市は、広域的な取組が必要とされる環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に当たっては、県及び他の地方公共団体と協力して推進するものとする。
(民間団体等との協働)
第21条 市は、環境の保全及び創造に関し、協働して取り組むため、民間団体等からなる組織づくりを図るものとする。
第3章 環境審議会
(環境審議会)
第22条 環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関し審議するため、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づく審議会その他の合議制の機関として、加須市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、環境基本計画の策定及び変更に関する事項を審議する。
3 審議会は、前項に定めるもののほか、必要に応じ、市長に対して、環境の保全及び創造に関する施策の推進について助言及び提言をすることができる。
4 審議会は、次に掲げる者のうちから、市長が任命し、又は委嘱する委員15人以内をもって組織する。
(1) 知識経験を有する者
(2) 学識経験を有する者
(3) 市内の公共的団体等の代表者
(4) 市以外の関係行政機関の職員
5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(平成31条例1・一部改正)
附 則
この条例は、平成22年3月23日から施行する。
附 則(平成31年条例第1号)
(施行期日)
1 この条例は、平成31年5月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日前にこの条例による改正前のそれぞれの条例の規定により委嘱され、又は任命された審議会等の委員(市議会の議員の身分を有していた者(第19条の規定による改正前の加須市都市計画審議会条例第2条第2項の規定により委嘱された者を除く。)を除く。)は、この条例による改正後のそれぞれの条例の規定により委嘱され、又は任命された審議会等の委員とみなす。